ある時こんな質問がありました。


「八坂神社のお神輿には神様がお乗りになると聞きました。神社の神様がお神輿に乗っているのなら、神社に神様がいないはずなのに、なぜ神社にお参りをするんですか?」と、

もっともな質問だと思いました。

神様には、人間の様に優しい気持ちと荒々しい気持ちの二通りあると考えられています。

神様の荒々しい側面であり、神様の祟り(タタリ)に表される荒ぶる魂を荒魂(アラミタマ)と言い、神様の優しく平和的な側面であり、神様のご加護(かご)に表されるものが、和魂(ニギミタマ)であります。

荒魂と和魂は、同一の神様であっても別の神様に見えるほどの強い個性の表れで、実際別の神名が与えられたり、伊勢の皇大神宮の正宮(しょうぐう)と荒祭宮(あらまつりのみや)といったように、別に祀られていたりすることもあります。

人々は神様の怒りを鎮め、荒魂を和魂に変えるために、神様に供物を捧げ、儀式や祭を行ってきました。

八坂神社の例大祭で、ご社殿からお神輿にお移しする御魂(おみたま)は、ご祭神である素盞鳴命(スサノオノミコト)の荒魂であります。年に一度の例大祭にお神輿にお乗りになって氏子地区にお出まし頂き、荒ぶる気持ちをお鎮めいただいているのです。

従いまして、神社からお移りいただくのは荒魂で、和魂はお移りいただくことなく、お祀りされています。

ちゃんと神様はいらっしゃるのです。

ご理解いただけたでしょうか。(^-^)/